■新築
■家族構成:5人(子ども3人)
■敷地面積:218.88㎡(66.21坪)
■延床面積:118.40㎡(35.81坪)
・1F/73.40㎡(22.20坪)
・2F/45.00㎡ (13.61坪)
■施工期間:約4ヶ月
余白、余裕、余韻。「ある」ことが贅沢だと考えがちだが、「ない」ことの方がよっぽど豊かで自由なのではないか。E邸には、自分たちの「モノサシ」で生きる、そんな潔さを宿している。まず、玄関の扉を開けて驚く。いわゆる玄関ホールがなく、キッチンまで続く通り土間が、玄関とリビングを分けるやわらかな境目に。廊下のような部屋のようなあいまいな空間は、一家のライブラリーであり、ご主人の趣味の道具が並ぶ見せる収納であり、子どもたちの遊び場でもある。まさに変幻自在だ。こうした空間の想像力を高めてくれる工夫は、2階にも。Eさんご夫婦には3人の子どもがいるが、それぞれの個室は今のところない。あるのはセカンドリビング
のような広いスペースと夫婦の寝室だけ。「子どもたちはいつか巣立っていく。夫婦2人になったとき、その空間を持て余してしまうでしょ」。だったら、はじめから個室は極力減らしておこうというのがご主人の考えだ。「自分の部屋がほしい」と言われたときのことを考え、将来は壁で仕切れるような手はずもしっかり整えてある。部屋の用途まで決まっている家は、親切なようで、ちょっと窮屈。家族の成長と暮らしの変化にフレキシブルに対応する、作り込みすぎない余白こそが、日々の暮らしに余裕と余韻を生むのだろう。「5年後にまた来てください」。そのときは今よりもっと、かっこよくなっているに違いない。
1.ログハウスのような無骨でラフな雰囲気 2.「ご飯できたよ」と声をかけると、2階で遊んでいた子どもたちがのぼり棒を使って下りてくる 3.〈ムラヤマ〉の真骨頂である造作のキッチン。あえて引き出しを作らず、お気に入りの道具や器を美しくレイアウト 4.玄関横には天井まで続く見せる収納スペースを。読みたい本を取りに行くのもアスレチック気分で 5.子どもの成長に合わせて部屋の用途を変えられるフレキシブルな空間